3年後、あの約束の続き
思わず足がすくみ、動けない。

(嘘、だ・・・)


これが現実なわけはない。

だけど間違いない。目の前に、『あの人』がいる。



パタ・パタと、廊下が音を立てると共に、『あの人』の顔が、より鮮明に見えてくる。


‐一生苦しんでね、エミ


あの言葉がフラッシュバックする。


視界が一瞬にして真っ赤に染まり‐その場にへたりこんでしまう。

逃げないと、一刻も早く逃げないと。
だけれど体が全く動かない。なんで。



「君が悪いんだ、言うことを聞かないんだから」

ぼやけた視界の中で、『あの人』は私に語りかける。



「今度は、楽にしてあげるよ」



ダダダと足音が早くなり私に迫ってくる。

咄嗟に床にうずくまると‐ふわりとあの匂いがした。
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