3年後、あの約束の続き
私ははぁ、と息を吐きながら
「さすがに・・・橋本だと溶けないわ」

「・・・渡辺、酷いなお前」
そう言って不満気なまま、橋本は席に戻って行った。


「仲いいんだねぇ」
章が嫌らしく笑う。

「そうでもないですよ。ま、彼も苦労してましたから」


それは本当だし、お互いに助け合ってきたのも本当の話ではある。
仮にも同期なのだ。


「瀬崎さん、一応展示会に出す商品たちをピックアップしたのでチェックお願いします」
とりあえず、顔だけ上げて目を合わせる。
さすがに上司にあたるので改善しないのは忍びない。

すると章はにっこりと笑った。



‐これは、やばい。

私の大好きだった笑顔がそこにある。

はやく、胸のざわめきが過ぎ去って欲しい。
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