3年後、あの約束の続き
案の定車は右に曲がり、そこで停車した。
顔を伏せる私に、「降りよう」と章がせかす。
私は車を降りて、覚悟を決める。
そしてゆっくりと顔を上げた。
「え・・・?」
思わず私は驚いた。
あの頃よりも少しコンパクトだけれど‐立派な日本家屋風の家が建っている。すごく似ている家。
駐車場の奥には‐杜若の花が咲いている。もう終わりかけの、杜若の花。
「良かった、まだ咲いていた」
呆然と立ち尽くす私に、章が声をかける。
「あの、ここって・・・」
「うん、そうだね」
ここは、私達の家があった場所。
10年前、全てが無くなってしまった場所。
でもあの頃と同じような建物が建っていて、庭には杜若が咲いている。
「お父さんが買い戻したんだ。今は俺のイトコが住んでいる」
確かに駐車場の片隅に、子供のオモチャらしき物が沢山置かれている。
きっと『車を貸してくれたイトコ』の家なんだろう。
章は「忘れ物ないよね?」と聞くと、車のキーをポストに突っ込んだ。
どうやら留守にしているらしい。
「じゃ、行こっか」
章は私の手を取った。
私達は歩き出す。
13年前と同じ、あの道を。
顔を伏せる私に、「降りよう」と章がせかす。
私は車を降りて、覚悟を決める。
そしてゆっくりと顔を上げた。
「え・・・?」
思わず私は驚いた。
あの頃よりも少しコンパクトだけれど‐立派な日本家屋風の家が建っている。すごく似ている家。
駐車場の奥には‐杜若の花が咲いている。もう終わりかけの、杜若の花。
「良かった、まだ咲いていた」
呆然と立ち尽くす私に、章が声をかける。
「あの、ここって・・・」
「うん、そうだね」
ここは、私達の家があった場所。
10年前、全てが無くなってしまった場所。
でもあの頃と同じような建物が建っていて、庭には杜若が咲いている。
「お父さんが買い戻したんだ。今は俺のイトコが住んでいる」
確かに駐車場の片隅に、子供のオモチャらしき物が沢山置かれている。
きっと『車を貸してくれたイトコ』の家なんだろう。
章は「忘れ物ないよね?」と聞くと、車のキーをポストに突っ込んだ。
どうやら留守にしているらしい。
「じゃ、行こっか」
章は私の手を取った。
私達は歩き出す。
13年前と同じ、あの道を。