3年後、あの約束の続き
まっすぐに歩いていくと、やがてあの丘の坂道に入る。
昔は長い道に思えたけれど、今はあの頃より随分と短い道に思える。

それだけ私が大人になってしまったということなのかもしれない。



しばらく進むと、見えてくる。

あの頃より、随分古くなったけれど‐私達が過ごした場所。
ばあば様と一緒に過ごした、大切な家。


窓から灯りが見えないので人は住んでなさそうだ。
その割に庭は綺麗に整備されている。

きょろきょろ見渡していると「今はたまに伯母さん達が泊まりにきているんだ」と説明してくれた。


あの日と同じように、章は鍵を開けて、中に進んでいく。
そして2階のあの部屋へと足を踏み入れる。


がらんとした部屋に、あの時と違って窓にカーテンがついている。
私達は窓に近づくと、章はカーテンを勢いよく開けた。

窓から見えるのは、大好きだった景色。



この町の全てが見下ろせる場所。
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