3年後、あの約束の続き
そしてゆっくりと章は私を抱き寄せた。


「いつ渡るの?ポルトガルには」

「多分再来月になると思う。裁判だけは見届けて行くよ」

「一生あいつは刑務所から出さなくていいのに」

「多分懲役5年以上は確定だと思うって。それに一生檻付の病院から出さないって約束してくれた」


章はしばらく黙った後、抱き寄せた手をほどく。


「お父さんと伯母さんが帰国したら、またここで暮らす予定だよ。
またこっそりと来よう。2人で」

私は「うん」と言って頷いた。
章はそっと私の頬に触れて‐ゆっくりと顔を近付け、唇にキスをする。


「また3年後、迎えに行くよ」


もう1度‐私達は約束した。


「うん、待ってるよ」


もう1度、指切りをした。
あの時と同じように。


「今度こそ、約束な」

「絶対ね」



そして私達は笑いあった。
あの日と同じように。
< 246 / 289 >

この作品をシェア

pagetop