3年後、あの約束の続き
会社を出てバス停への道を歩いていく。
もうこの見慣れた風景とも、今日でお別れだ。

丁度バス停が見えた頃、バスが入ってくるところが見えた。
私はあわててバスに駆け寄って、駆け込み乗車。乗り込むとすぐにバスは発車する。
すぐそこが空席だったので、座ってぼんやりと車窓を眺めていた。

石畳の道路や、行き交う路面電車・・・この美しくて暖かい街が、私は大好きになった。
色々な場所へも行った。
ユーラシア大陸最西端のロカ岬、世界遺産にも登録されているポルトの歴史地区。
ポルトガルだけではない。
ヨーロッパの色々な国に、足を運んだ。
スペイン、ドイツ、イタリア、デンマーク・・・それにノルウェー。


ふとタブレットを見ると、メッセージが届いていた。

『今から寝るよ、おやすみ。迎えに行くから』
今から2時間ぐらい前にきていた。そろそろ向こうは夜明けが近いのだろうか。


私はカバンの中から、鍵を取り出す。
先月に送られてきた鍵。

『前のようないい場所じゃないけど、それでも2人で暮らすには十分』

同封されていた手紙には、そう綴られてあった。
< 252 / 289 >

この作品をシェア

pagetop