3年後、あの約束の続き
章は一足早く、3ヶ月前の2月に帰国していた。
最後に会ったのは、トランジットでフランクフルトへ立ち寄った時。

「先に準備して待っているから」
そう言って日本へと帰って行った。

2人で暮らすためのマンションも借りた。
前の新宿のような豪華な場所ではなく、西武線の方。池袋に程近い場所。
当たり前だけど『日本に転籍』という形になったので、給料は下がった。
それでも2人で暮らして行くには十分だろう。

ちなみに私より先に、新居のベッドで翔太が章と一緒に寝たらしい。
若干反抗期気味の翔太は、最近章にべったりだとか。
なんか実の姉としては、色々と複雑な気分である・・・。


ノルウェーに行った時には、おじさん−章のお父さんとも会った。
おじさんは見たことがないほど涙を流して、私を歓迎してくれた。
ずっと私達を探していていたんだとも。
一連の事件のことを話すと一緒に怒ってくれて、翔太の話をすると顔を輝かせて喜んでくれた。

そして今、おじさんとおじさんのお姉さん‐つまりノルウェーの伯母さん
それと伯母さんの子供‐と言っても年上の海洋学者の人 は『あの町』で暮らしている。
「こっそりと遊びにきてね」と連絡がきたので、いつか遊びに行けたらいいなと思っている。
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