3年後、あの約束の続き
章の友人だという人物、Gabriel(ガブリエウ)さんと会うことになった。
同い年の男性で、大学時代の友人らしい。
日本へは出張で来ているんだとか。

章に連れられて、品川駅の改札へと向かう。
章が手を上げて「Gabriel!」と叫ぶと、1人の男性が振り返った。
黒髪で彫りが深い、九州男子系だ。


‐やあ久しぶり、元気?
2人は英語で会話をはじめる。

‐その子が噂の子かい?
ガブリエウは私を指すと、章はそうだと言った。

「Bonnoite (ボン ノイチ)!」
ガブリエウはポルトガル語で挨拶をする。

私はにっこりと笑って
「Muito prazer (ムイートプラゼール)」
お会いできて嬉しいです、と返事をした。

‐君はブラジルに住んでいたんだって?

‐はい。ブラジルポルトガル語なら少し喋れます。

そう言うとガブリエウは
‐僕はブラジルのテレビ番組をよく見ていたよ。面白いんだよね。

思わず彼の言葉に笑ってしまう。

章は不思議そうな顔で私を見る。
「・・・何を言ってる?」

「いえ、ただ単に彼がブラポル語で喋っているのがおかしいだけです」


ガブリエウは得意げな顔をしている。

‐こちらこそよろしくね。

そう言ってガブリエウは手を差し出す。
私は笑顔で彼と握手をした。
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