3年後、あの約束の続き
‐ところで・・・君はアキラの初恋の人を知っているか?

私は少しだけ聞いたことがある、と返事をした。

1階に到着しても、ガブリエウは歩きながら話を続ける。

‐アキラが17歳になる少し前、いきなり行方不明になったらしいんだ。彼女の家族も、みんな。

私は平静を装い、そうなんですねと返事をする。

‐彼の部屋には、彼女の写真が飾ってあった。おそらく今も飾ってあるだろう。



そう言うとガブリエウはすっと私に近付いて、人差し指で私の首に触る。
そしてある言葉を囁く。

その囁いた言葉に、私は立ちすくんでしまう。


立ちすくむ私の頭をポン、と叩いて

‐アキラには内緒だ

と言ってにっこりと笑う。
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