3年後、あの約束の続き
ひたすら昼ごはんも食べずに、翻訳作業を続ける。
私が入社してから手掛けてきている仕事で、やりがいは感じているし好きな作業ではあるのだが。

夜8時、他の仕事を振った田野畑さんが帰宅する。
「手伝いましょうか・・・?」と申し出てくれたが、さすがに断っておいた。


久しぶりにこのフロアに私以外が居なくなる。
がらんとしたフロア。BGMがわりのラジオの音が大きく響いている。


「あれ、渡辺さんまだ居たの?」
章だ。
そう言えば昼過ぎから、ずっと席を外していた。

「もう少しです。瀬崎さんは?」

「他の部行ってた。本社も時差あるし、さっき本社の仕事終わったところ」

「そうなんですね、戸締まりするんで帰宅してください。お疲れ様です。」

そう言って私は仕事に戻る。
章もフロアから出ていった。


(もう少し、じゃない量なんだけど・・・)


とりあえず目標は11時帰宅だ。
電子辞書を引きながら直訳し、日本語を組み換えるという作業は続いていく。
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