3年後、あの約束の続き
とりあえず橋本と近くのベンチに腰掛けて、みんなの戻りを待つ。
業者の人は「お疲れ様です」と挨拶して帰っていった。


「瀬崎さん、あの人何者なんだ?」
橋本が何とも言えない顔で呟いた。

「うーん・・・何者なんでしょうねぇ」

章の経歴を見たことがあるが・・・
『アメリカの大学を卒業後、本社の販売促進部へ入社』ぐらいしかわからない。
学部までわからなかったけれど、元理工学部なら専門外な分野のような気はするが・・・。
(まぁ章、というか瀬崎家は全員地頭は良く要領は良いので、何でもできるはずではある)

何でうちに入社したんだろうか。
‐いや、心当たりは・・・


「渡辺」
はっと橋本の声に気付いて、意識がこっちに戻ってきた。
「オマエまた瀬崎さんに何か言われてなかった?」

「別に橋本には関係ない」

「関係ないって・・・」

あくまで自分の気持ちとの折り合いの付け方の問題だ。
「大丈夫だからほっておいて」

そう言うと橋本が「ほっておけるか」と呟いた。

「あくまで自分の問題だから、橋本が気にすることない」

「いや、気にする」

「何で?」
そう言って橋本を睨み付けると‐橋本が意外な言葉を言った。



「俺、渡辺のこと好きなんだけど」
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