3年後、あの約束の続き
「俺は親戚に会いに、姉ちゃんと地元周辺行ってきた」
早苗お姉ちゃんも日本に居るのか。

「あと、俺4月が誕生日だったんだけど、イトコの車貰ってきた」

「く、車!!!」
田野畑さんの目が輝いた。

「正確には『借りてる』だけどね。3人目の子供生まれて、ワンボックスに買い換えたから車余ったんだって。
車検切れるまで使っていいって言ってるけど、車検切れるまで多分日本に居ないからさ」

そう言うと‐田野畑さんから『カチッ』とスイッチの切り替わる音がした、ような気がした。

‐そうか。章は確実に、日本から居なくなる。


今はきっと『一時の夢』だ。
隣に章が居るという、長い人生の中の『一時の夢』


「瀬崎さんー、イトコとか友達に『彼女募集中』な人居ないんですかー?」
懲りずに田野畑さんが聞いている。

「うーん・・・俺が1番年下だし・・・
あ、『ノルウェーとアメリカを行き来している大学教授』なら。60代男性だけど」
そう言って苦笑いしていた。
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