穴・あな

友だち

先日、彼とあけた4つ目のピアスホールは、穴が固まるのが遅かった。

もういいかな、と思い、樹脂のシークレットピアスを外すと、ぷつり、と血が出てきた。
血を拭き取り、消毒して、彼と買ってきたピアスをつける。

彼とのお揃いを早く付けたいからって、血を流すなんて。なんて、乙女。
それだけなら十分乙女なのだが。

血の滲んだ不完全なピアス穴に、新しいピアスをねじ込む痛みに悦ぶのは、きっと乙女のそれとは程遠い。



今日は同じグループの友達の誕生日だ。私の部屋は、仲間内で一番学校から近いので、みんな私の家に集まっていた。

計6人の乙女達が私の部屋にやってきた。内心はハーレムだ。
しかも、その中の1人の麻美子ちゃんが、泊まっていくだなんて・・・何も無いことを祈りつつ、期待してしまう自分に一喝。

彼女は友だち、麻美子ちゃんは友だち、と念じて、煩悩を頭の端に追いやる。


そんな私の葛藤をよそに、スカートを履いた沙智恵ちゃんが足を組み直す。柔らかそうな太ももがより露出する。

沙智恵ちゃんは、私の「太ももからふくらはぎまでの譲れないこだわりのライン」をしっかり合格している、悩ましい脚の持ち主だ。

私は、沙智恵ちゃんに一瞬ムラっときてしまったのを自分に誤魔化すために、
「相変わらず沙智恵ちゃんの太ももはたまりませんな!」
と、沙智恵ちゃんの太ももをポンと叩いておどけてみせた。

オヤジかよ、と一同爆笑。


しかし、私だけは自分自身が信じられない思いで、顔をひきつらせて笑っていた。

沙智恵ちゃんの脚に触れた瞬間、その脚の、滑らかさ、温度、弾力に、触ったことを後悔した。
その白い太ももの、なんと魅惑的なこと。

理屈抜きで、私は友だちの彼女に欲情したのだ。
私はそれ以降、自己嫌悪に陥り、麻美子ちゃんと2人っきりになるまで、上の空だったように思う。


自己嫌悪の最中も、あの白い脚に、紅い縛り痕をつけたら・・・などと考える私は、きっと頭がおかしいんだと思った。
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