穴・あな
「お風呂、お先にいただきました。」
湯上がりの麻美子ちゃんが、部屋に戻ってきた。

私が使っている、蜂蜜の香りの石鹸の香りがする。
「あの石鹸、すっごいいい匂いだね!」
麻美子ちゃんが感動しながら髪をタオルで拭く。

「そんなに気に入ったのなら、買い置きがあるから1個持っていきなよ。」
私は洗面所の収納スペースから、蜂蜜の石鹸を出し、彼女にトスする。

「え、いいの!?ありがとう!」
無邪気に喜ぶ彼女は、いつもの眼鏡を外していて、湯上がりで頬を紅潮させている。
その上私は濡れ髪フェチでもあるのだ。

そんなこととは知らず、彼女は、大好き!と言って、いきなり抱きついてきた。もちろん彼女はノーブラである。


くらくらする頭を落ち着かせるため、深呼吸をするが、それが彼女の匂いを肺いっぱいに吸い込むことになり、逆効果だ。

「はー…いい匂い…」
私は、やっと一言そう言った。

「自分と同じ石鹸でしょ。」
と、麻美子ちゃんが言う。
「当然。」
と私が返すと、ナルシストじゃん、とニヤニヤしながら言われた。

まあね!と言いながら、私はふざけてセクシーポーズをとった。
麻美子ちゃんがきゃらきゃら笑う。
それを見て、私は深く安堵した。麻美子ちゃんの匂いを深く嗅いだとき、理性が飛びそうになった。

お願いだから、もっと警戒心を持ってください。
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