穴・あな
私は、彼が好きだ。


ずっと一緒にいれたら、と思う。

でも、そういう、ことをするときは、何か変な感じだ。嫌なわけじゃない。気持ちよくないわけじゃない。

なにかが。違うような、




彼は血が嫌いだ。

自分自身の血でも怖いと言う。

エログロナンセンスな世界が好きな私は、なんだかそれが気にくわなくて、意気地なし、とバカにした。

そうしたら、彼は次の日、献血カーの中に入っていった。

生気をぬかれたような、しかし、どこかやり遂げたような顔の彼に、今日ピアスあけるんだ、と言った。


彼が献血している間に買ったピアッサーを見せると、彼は露骨に嫌そうな顔をした。

ピアスをあけるときに、血が出ると思っているのだ。血は出ないよ、とは言わなかった。

その顔をもっと、嫌がる顔がもっと見たくなったから。

・・・なんて言ったら、ずっと一緒にいたいと言ってくれる、目の前の彼は、私から離れていくのだろうか。

いや、離れないと思う。彼はマゾっ気があるから。


私は、サディストで、痛いのと、女の子と男の子が好きな19歳です。ついでに横断歩道は白い線だけ歩きます。


自分が一番わからないなんてことはない。自覚はしている。

私は世間一般のひとと、決定的に違うのに、普通の恋愛をして、ノーマルなセックスをして、自傷行為もしていない。



でも、道に落ちていた小石を、家まで蹴り続けられたら私は不老不死になれる、と念じながら帰ったりします。
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