カクテル・マジック
ドン!ガサッ!
「痛っ!」「先、帰ってんじゃねぇよ」
見上げると彼が大きな紙袋の底を私の頭上に投下していた。
乱暴な仕打ちを受けてるというのに、私を見下ろす姿が色っぽいと見惚れてしまう私はもう末期だ。
「うわ〜!大収穫だね。俺にも分けて」
襲撃したのは大量チョコ入りの紙袋。
「ふんっ!何よ、これ見よがしに。良かったね!沢山貰って」
「別に嬉しかねぇよ。量より質だろ」
「えー?高級ブランドのも貰ってたじゃん」
「そういう“質”じゃなくてさ…てか、お前からはないの?」
「ないよ!そんなの。別に私のなんか欲しくもないでしょ」
あぁ〜何て意地っ張りなんだ、私。近くに居る特権で彼の好みをリサーチして準備してたくせに。冗談ぽく好きと言えても本音を晒すのは怖い。
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