【完】【短】初恋を教えてくれた顔も知らぬ君へ
そうして、またメモを挟んで図書室に返却する。
2日後にもう一度図書室を訪れると、3巻が返されていた。
──今回もあるかな…
そんな期待が芽生え始めている。
物語を読むことも、メモを通してやり取りすることも、どちらも私の楽しみになっていた。
「あ、ある…!」
それまでと同じように最後のページに挟まれたメモ。
ただ、少し違ったのは…
『もし良かったら…
文通、しませんか』
こんな申し出があったこと。
このやり取りに"文通"と、少し古風な名前がついた。
名前なんかついてなくてもきっとこの関係は続いていたと思うのに、"文通"が始まることに胸が踊った。