【完】【短】初恋を教えてくれた顔も知らぬ君へ
「あの…花粉、酷いですか」
「…え」
って何聞いてるんだ私!
あそこにいる女の子にも睨まれてる!
…気がする。
「そう…っすね。
って言っても俺、毎年こうなんで」
「大変ですね…」
「花粉症じゃないんですか」
「な、なんとか…まだ」
「それは羨ましい」
花粉症の人の辛さがわからなくて困ってるんだけど…
なんて、花粉症で苦しんでる人に向かって言ったら失礼だよね。
「あ、あの…すみませんでした、変なこと聞いて…」
こんなヤンキーみたいな人に話しかけるなんて…今までではありえなかった。
いや、今でもあっちの女の子には話しかけようとは思わないんだけど…
「そんなことないっすよ」
ニコッと笑って返してくれて、そのせいで心臓が跳ねる。
もしかして、この人だから…?
…なんて、ないな。ないない。