【完】【短】初恋を教えてくれた顔も知らぬ君へ


『実は変わろうとしてるんです。
こっちこそ梅さんのおかげですよ』



マリさんの役に立てたのなら…とても嬉しい。


だけど…もう…



『次が、最終巻ですね』



このままだと終わってしまうのかな。


お互い名前しか知らなくて、読んでた本が同じってだけだったから。



…嫌だな。



『嬉しいです、マリさんのお役に立てて…
最終巻…どうなりますかね』



変わろうとしてるのに、自分の気持ちを伝えなきゃって思うのに…やっぱり怖くて、当たり障りのない言葉しか書けない。



だけど本の内容はもうそっちのけでマリさんとの会話を楽しんでた。



もう少し関係を続けたいって、本当はそう書きたいのに。

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