【完】【短】初恋を教えてくれた顔も知らぬ君へ
「俺は、もっと梅さんと顔を見て話したいです。
文字じゃなくて、言葉で話したい」
「私も…です」
顔を知らないからこそ、きっと私は貴方を受け入れられた。
そのおかげで貴方に恋をすることが出来た。
ただの文通をする関係が、私達自身を結びつけた。
「梅、見に行きますか」
「…はい…!」
「梅干しも買いに行きましょう」
「夏は…海ですか?」
「行ってくれますか」
「マリくんとなら」
初恋を教えてくれた顔も知らない貴方へ。
この想いを捧げます。
春は花粉症で苦しむ貴方の隣で一緒に梅を見たいです。
夏は一緒に海へ行って苦手だけどマリンスポーツを一緒にしたいです。
秋は月を見ながら一緒に美味しいものを食べたいです。
冬は寒いねって言いながら一緒に歩きたいです。
全部、マリくんだから。
一冊の本が結びつけた私達の恋物語。
【初恋を教えてくれた顔も知らぬ君へ】 Fin...