散る桜



***

あの頃のわたしは、不登校で引きこもりだった。

原因は、思い出したくても思い出せない。思い出そうとすると、もう二度とは戻ってこない、懐かしい彼女の笑顔が、胸を締め付けた。


何があったのか、誰も教えてはくれなかったが、ぽつりぽつりと漏れ聞けば、どうやら学校で、執拗な嫌がらせを受けていたらしい。


ただ、深夜のバスルームで、手首を切った。
< 2 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop