散る桜
4
あの時のことは、よく覚えていない。
大人たちは、わたしのために色々と手を尽くしてくれたようだったが、心と身体がばらばらになってしまったわたしを、どうにもできなかったそうだ。
わたしは療養というカタチで、母の田舎に預けられることとなった。
祖母は、古く大きな家に一人で暮らしていた。
家は山に囲まれていて、自然豊かと言えば聞こえもいいが、それ以外に特筆することはなく、人の気配さえも皆無のような場所だった。
あの時のことは、よく覚えていない。
大人たちは、わたしのために色々と手を尽くしてくれたようだったが、心と身体がばらばらになってしまったわたしを、どうにもできなかったそうだ。
わたしは療養というカタチで、母の田舎に預けられることとなった。
祖母は、古く大きな家に一人で暮らしていた。
家は山に囲まれていて、自然豊かと言えば聞こえもいいが、それ以外に特筆することはなく、人の気配さえも皆無のような場所だった。