散る桜
5
祖母は、あの頃のわたしが、一番迷惑をかけた人だ。
穏やかな人で、いつも笑って、わがままなわたしを受け入れてくれていた。
わたしは祖母の写真の前に置かれた位牌に、手を合わせた。
「おばあちゃん……」
それは、ありがとうなのか、ごめんなさいなのか。言葉の先を紡がぬまま、私の呟きは、突然吹いた夜風に消えた。
祖母は、あの頃のわたしが、一番迷惑をかけた人だ。
穏やかな人で、いつも笑って、わがままなわたしを受け入れてくれていた。
わたしは祖母の写真の前に置かれた位牌に、手を合わせた。
「おばあちゃん……」
それは、ありがとうなのか、ごめんなさいなのか。言葉の先を紡がぬまま、私の呟きは、突然吹いた夜風に消えた。