散る桜
6
***
「しいちゃん。散歩に行くなら、お帽子被りなさいね」
あの日も、夏の太陽はぎらぎらと照りつけて、アスファルトからは陽炎が揺らめいていた光景を思い出す。
暑い日のことだった。
祖母は玄関で、白いリボンのついた麦わら帽子を、わたしの頭に乗せた。
わたしは、返事もせずに家を出た。
***
「しいちゃん。散歩に行くなら、お帽子被りなさいね」
あの日も、夏の太陽はぎらぎらと照りつけて、アスファルトからは陽炎が揺らめいていた光景を思い出す。
暑い日のことだった。
祖母は玄関で、白いリボンのついた麦わら帽子を、わたしの頭に乗せた。
わたしは、返事もせずに家を出た。