ヒョン
ヒョン
JM『……!ジョングガ!!!!』

「んっ…」





目を覚ますとそこは見慣れた景色

…ではなく





「どこここ…」





冷たいコンクリートの箱の中でした。











「…で、知らないうちに、成人男性7人がここに連れ込まれたと…。」


RM『ああ、そういうことだ…』


JH『僕はジニヒョンに起こされたんだけど、その時には、ここには僕ら7人しかいなくて…ね?』


JN『うん…僕が起きた時には皆が床で倒れてるだけで…』


SG『まじでどうなってんだよ…!』





ユンギヒョンがコンクリートの床をゴンと拳で叩くと鈍い音だけがした。





TH『俺らこれからどうなっちゃうんだろう…』


JM『連絡手段ないしね…』


「スマホは?」


RM『みんな、ないっぽいんだよなぁ…』





確認するようにポケットを漁ってみるけど、やはり見つからない。










この場所に閉じ込められてから何時間がたっただろうか。
いつも明るいメンバーも今では疲れ果てたように倒れ込んでいた。
このコンクリートの箱の中の出口は、鉄でできた冷たい扉だけだけど、どう試行錯誤しても開くことは無かった。





『ねぇ…みんな…』





突然声を出したのはジニヒョンだった。





「どうしたんですか…?」





彼の一声に寝転がっていたユンギヒョン達や壁にもたれかかっていたホソクヒョン達、そして俺も自然とジニヒョンを中心に円を作った。





『みんな見た目は変わったけど、心はなんにも変わってないよね。』


TH『ヒョン…何の話をするつもり?』


『昔の話に決まってるでしょ。』


JM『なんでこんな時に…』


『たまにはいいでしょ?昔を振り返るのも。僕は今のみんなも好きだけど、昔のみんなも好きだったから。』


TH『でも…!』


『テヒョン、覚えてる?2人でトイレに忍び込んで、入ってくるみんなを驚かせたやつ!』


TH『あぁ…!』


『僕、人にイタズラをするなんて初めてだったら、すっっごいドキドキしたの今でも覚えてるよw』


JM『うわぁ…懐かしい……。』


SG『あれでビビりすぎてホソクはチビったよなwww』


JH『ちょっとユンギヒョン!今思い出されないように黙ってたのに!!』


RM『言わなくてもみんなずっと覚えてるよwww』


『あれでジニヒョンはユンギヒョンに叩かれて便器に頭から突っ込みそうになって焦ってましたよねww』





僕の一言に、メンバーのみんなは「そうだったそうだった」と楽しそうに笑い声をあげた。





『あの時のジョングクは、まだ小さくて赤ちゃんだったのに、いつの間にかヒョンをバカにするようになって~!!!!反抗期なんだから~!!!』





なんて口では言っているけど、ジニヒョンは楽しそうに笑っていた。





JM『ふふ、デビュー前も楽しかったですよね~!』


『あ!そう言えばモニがさぁ~、』











昔の記憶を蘇らせて、笑い合うのが楽しくて楽しくてたまらなくて…。

ヒョン達があまりにも幸せそうな笑顔を見せるのが嬉しくて嬉しくて…。

ジニヒョンだけが時間が経つにつれていつもより切なそうに笑っているのを、勝手に気のせいにしてしまった。











RM『それにしても色々あったな…』


TH『ゆ…ゆ…ユンギwwwwユンギヒョwwwwwwユンギヒョンのやつがつぼっwwwwツボっちゃってwwwwwwwwwはぁはぁはぁ…苦しいwwwwwwwwwww』


SG『お前アホだろ…』


JM『テヒョンのアホは今に始まったことじゃないですよ…』


「ジミニヒョンも人のこと言えないですけどねw」


JM『ジョングガ!?!?』


JH『あはは~、おかしいwwwww』







『それにしても…今まで楽しかったね…。』




急に声のトーンを変えたのは、この話題を始めたジニヒョンだった。





「どうしたんですか…?」





やっぱりジニヒョンが少しおかしい。
全員が心配そうに彼を見つめているから、きっとみんな感じているんだろう…。





『みんな、今、なんでこのコンクリートの部屋に入れられているか分かる?』


SG『分からないから何も出来ずにいるんじゃ…』


RM『…!?


…ジニヒョンは……


ジニヒョンは分かるんですか…?』


『ねぇ…ジョングガ…』


「なんですか…?」


『ジョングガは僕の事…好き?』


「え?」


『どう思ってるの?』


「好きですよ!!」





そう答えるとジニヒョンは困ったように言った。





『いつもなら僕を馬鹿にしてくるのに、こういう時だけ好きって正直に言ってくれるんだね…』


「え?」


『どうせ僕がおかしいことにみんな気づいてるんでしょ?』


SG『…本当にどうしたんですか?』


『言いづらいんだけど、実は僕、スマホも鍵も持ってるんだ。』


「え?」


JH『な…なんだぁぁ!!じゃあ!スマホでマネヒョンに連絡入れて鍵でここから出ましょう!!』


RM『あー、そうだな…!よかった…!』


JM『ほら!明日仕事入ってるし、早く出ちゃいましょう!』


TH『キムチチゲ食べたい!!』


SG『出たら何でもできるから早く出るぞ』


『…それは無理』


「なんでですか?」





そう聞くとジニヒョンは何故か軽く微笑んだ。
しかも今にも泣き出してしまいそうな弱い笑顔で。





『僕ね、みんなのヒョンになれて本当に良かったと思ってる。』


「?」


『ユンギ、ホソク、ナムジュンア、ジミンア、テヒョンア、ジョングガ』


「ど…うしたんです…か?」


『6人の可愛くてかっこよくてワガママでうるさい弟を持てたこと誇りに思ってるよ。』


RM『ヒョン…?』





するとジニヒョンはいきなり立ち上がってポケットから鍵を取り出した。





『ここは僕が責任を取る。』


「何言ってるの?ヒョン…。」


『ごめん。できそこないのヒョンに出来ることなんてこれくらいしかないから。』


JH『どういうこと…?なんかあるんですか!?』





ホビヒョンの質問に答えないまま、扉の前まで行くと鍵をガチャリと開ける。





SG『どこ行くんですか?』


『…スマホはここに置いていく。僕がここから出たらマネヒョンにすぐ連絡を入れて逃げて。』


TH『ジニヒョンはどうするの?今から何するつもり?』


『僕はもうみんなに会えないから…』


JM『さっきから意味わかんないことばっかり言わないでください!!結局なんなんですか!!!せっかく楽しく思い出話もできたのに…会えない?どういうこと!?質問に答えてください!!!!』


『…誰かが僕達に嫉妬してくれてるんだ。』


「は…?」


『それじゃあ…そろそろ行くから…もう時間が無い。』





振り返ったジニヒョンはボロボロと涙を流していた。
その瞬間、きっと6人全員の頭の中に悪い予感がよぎった。





「行っちゃダメだよヒョン…!!!!」


RM『ヒョン…お願いです。行かないで…!』


JH『ほら…リーダーも言ってる事だし…他に解決策があるかもしれないじゃないですか!!!』






『ごめんね…ごめん…本当にごめん…。みんなが起きる前に行っちゃえばよかったんだけど…どうしても怖くて怖くて…。』






「みんなで帰りましょう?ね?ジニヒョン…お願い…」


『大丈夫だよ。ジョングガ。いつも通り「ヒョンのクセに怖いんだ」って馬鹿にして。それがジョングガでしょ?』


「嫌です…!」


『みんなと話せて良かった。最後の最後までありがとう。』


「待って!!!ヒョン!!!嫌だ!!!!」


SG『まじで待てって!!ジニヒョン!!』


TH『だめだめだめだめ!やだ!ヒョン!ダメだよ………』


JM『僕達も一緒に行く!!』


『ダメに決まってるでしょ。最後くらいは格好つけさせて』


RM『最後って何言ってるんですか…』


JH『ジニヒョン…お願い…ここにいて…!』





ジニヒョンはドアノブをぎゅっと握ると、涙を流しながら微笑んだ。





『愛してるよ』























『ジョングガ!知ってる?韓国のアイドルに嫉妬して、監禁する人がいるらしいよ』


「監禁ですか…?」





それはデビュー前のジニヒョンとの会話。





『怖いよね~!』


「でもどうやってそこから逃げるんですか?」


『分からないけど…噂では誰か一人を
苦しめるって。一人だけ。』


「うわぁぁ!怖い…!」


『その時は僕がその一人になってもいい?』


「嫌です!!!それになんでですか!!」


『んー、大好きな弟達が傷つくところなんて絶対見たくないもん!!』


「僕のことも大好きですか?」


『当たり前でしょ~!ヒョンはみんな大好きだよ~!』

















.
.
.
end

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