Haru Koi

～ 文化祭 ～

あのあと遥哉の家を出てから
ずっと悩んでた。でも一度決めたことはちゃんとしたいな。遥哉との思い出を作りたい。

「咲菜～文化祭明日だね～！超楽しみじゃない！？」

「すんごい楽しみ！準備も頑張ったし沢山お客さん入るといいね～」

明日はいよいよ文化祭。遥哉とまわる初めての文化祭。

ー 文化祭当日 ー

学校中がワイワイしていて
まるで別世界みたいになる文化祭。

今日は私も暗い顔せず笑顔でいよう。

「遥哉～！行くよ！どっかまわりたいとこある？」

「俺クレープがいい。」

「いいねクレープ！行こ行こ！」

………

「次はお化け屋敷だね～！」

「俺行ったことねぇよ多分。」

「じゃあ私が一番最初だね！」

本当は最初じゃないかもしれない
それすらわからないけど、
遥哉の中で私の存在は少しでも大きくなってるのかな？…

「怖かった？お化け屋敷」

「いや別に。」

「あとは大体まわったし後夜祭だね」

「後夜祭ってなにすんの。」

「まあ～大体が告白タイムよね～♥」

「あ、そう。じゃあ関係ねえな俺ら」

「あ…うんそうだね！…」

あの時私が好きって言ったのもしかして忘れてる？…

「は、遥哉！ちょっと待って！」

「なに？」

「後夜祭も一緒にいてほしい。」

「ん、なんかわかんないけどいいよ。」

「ありがと…」

好きって伝えてもまた忘れられるかもしれない。でも忘れるたびに好きって伝えよう。

「カップルが続々と誕生していくね」

「そうだな。あいつらはあの付き合いが嫌な思い出になったりいい思い出になったりするんだよな。俺はそれすらもできねえ」

「そうだね。思い出になるんだよいつか。」

……

「遥哉。」

「ん？」

「すきだよ。だいすき。昔からずっと。」

「……ごめん。」

あぁ…やっぱり忘れてるんだ。

「ううん困らせるつもりはないの！気持ちは知ってて欲しい。忘れるたびに私がまた伝えるよ。振られたって何度も言い続ける」

「もうそういうのやめよう。」

「え？」

「俺は忘れていくだけだけどお前の中には残り続ける。お前のその勇気を出して言った言葉も俺は忘れてしまう。ならもうそんなことしないでほしい。」

「なんで今更…」

「俺手術受けるんだよ。でも成功する確率は低いらしい。そしたら本当にお前のこと完全に忘れるかもう戻ってこないかだ。」

「そんな…」

「だからもう関わるのやめよう。」

高校生活最後の文化祭は後味の悪いまま終わってしまった。