あなたを好きにならないための三箇条
「…このまま襲われたくないでしょ?」
悪役
ふと今の俺の状態が頭をよぎった
俺は物語でいう悪役そのもの。
教師に想いを寄せる女子を押し倒し自分の願いのために自分勝手な提案を出す
悪者
ニヤリと笑んで俺は押さえつける手の力を強くした
「…っ」
けれど…
如月瑠衣を見下ろした時、彼女の瞳に涙がたまっているのが見えた
ポロポロと
まるでせき止めることのできない川のように
流れて流れて止まることを知らない川のように
涙がベットのシーツに吸い込まれていくのが見えた
どうしたら良いのかわからなくなって動きが止まる
「…怖い…の?」
苦笑いで聞けば彼女は青ざめた顔で呟いた
「…はなれて。お願い」
掠れたその声はありえないほどに弱々しくて。
俺は押さえつける力を緩めて彼女の手を引き起き上がらせた
「…っ…けほっけほ」
彼女は起き上がった途端にやっと息ができたように咳き込んで
胸元の前でぎゅっと両手を握った
「…どうして。」
どうして?
彼女の質問の意図がわからず首を傾げると彼女は付け足したように言葉をつなげた
「…どうして、やめたの?」