あなたを好きにならないための三箇条
彼の背を追いかけているとしばらくして
自宅が目の前に映る
もう、こんなところまで来てしまったのか
早かったなぁ…
もう少し…
って。え?
…どうして私は家に着いたことを
彼と歩くのが終わることを
…残念がっているの?
いや、そんなはずない。
私は男という生き物が何よりも嫌いなのだから。
「…ここが家。送ってくれてありがとう」
モヤモヤした感情を笑顔で隠しながら自宅の扉に手をかける
「…瑠衣!?」
私が扉を開けるより先にうちの中から扉が開かれた
私の名を呼んだ少女は私の顔を見た途端に安堵の表情を浮かべて私を抱きしめる
「…よかった…。無事?なにもされてない?」
心配そうな声と顔にどうにか微笑む
「大丈夫だよ。紗奈(サナ)」
私を抱きしめる背中にそっと腕を回す
紗奈の心臓の音は早く心配が伝わってくる。
と、そこで気がついた
まだ、彼がいることに…。
「…一ノ瀬くん!ありがとう!気をつけて帰って!」
やばい。これはやばい。
私の言葉に反応するよりも早く紗奈が彼をその目に捉えた
「…男?…」