あなたを好きにならないための三箇条

なーんて建前立てときゃどうにでもなる。



“好き”



俺にはそんな感情はない


…ないはすだ。




事実 俺には想い人がいる。

どんなに望んでも手に入らない人物がいる。




望んでも手に入らないとわかっていても
それでも目を離さずにはいられない人がいる




諦めようと諦めようと他の女と付き合ってみても
ない気持ちを温めることなんかできやしなくて
何度も何度も舞い戻ってしまう気持ちを抑えきれない、そんな相手がいる。



強くて綺麗で
どんな男にももったいないと思えるような
あまりにも俺には手の届かない人物は
俺をみてはくれない



諦めるしかないと
思った



何度も



その人を忘れるためなら俺は何だってやる




俺の想いはきっとそいつを傷つけることをわかっているから




「…好きなんだよ…」




口から滑り落ちた嘘はきっと如月瑠衣に向けられたものではない。


俺の心の半分以上を占めているあの人に向けられたものだから



本人には伝えられない想いだけれど



俺は…



「…だから、側にいたい」



心臓が鷲掴みにされるよりも苦しい

どんなに愛しても手に入らないのなら


別の人を愛して止まなくなればいい



それでも



俺が

側にいたいと思うのは








あの人だけだ







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