あなたを好きにならないための三箇条

最低だってわかってる

自分の願いのために1人の少女を利用するのだから。



…それでも、俺にはこうするしかないんだ。




騙して騙して騙して。




如月瑠衣も紗奈も俺自身でさえも騙して
俺は自分の傷つかない道を探す。


「…わかった。」


凛とした声が紗奈の口から放たれた


「…じゃあ、付き合ってても…」

「でも!」


喜んだように顔を上げる
しかし
そこで静止されてしまった

「…あの子を泣かせたら許さない!
私の一生をかけてあんたを不幸にする。
…あの子は、私が守るの」

紗奈はまっすぐに俺を見つめていた。
強い信念のもと言葉を放っているように思えた。
最後の一言を除いて。


『あの子は、私が守るの』
そのとき紗奈は俯いた
目を地面に背けたのだ
まっすぐに俺を見つめていた少女のその瞳から感じ取れるのは……




…後悔?…





「…改めて自己紹介をするわ」



しかし、紗奈は何事もなかったかのようにまたまっすぐに俺を見つめた

ふわりとボブの髪が風に揺れる

紗奈の後ろにある扉の向こうにはきっと如月瑠衣がいる。庭はそんなに広くない洋風の家。
けれど大きさで言えば普通よりは明らかに大きい。
きっと金持ちなのだろう
それでも如月瑠衣はお嬢様を感じさせない。

そこまでお嬢様じゃないのか
それともわざとそうしているのかはわからない。



「私は春田紗奈(ハルタ サナ)。
あの子の いとこ で幼馴染で家族でもある。
姉がリポーターをしていて私の夢は警察官。
瑠衣を守るためならなんだってする
…あの子を傷つけたら私が許さないこと、わかっていてよ」


つられて俺も自己紹介を行う


「…俺は…一ノ瀬空。
姉がもうすぐ結婚するから兄もできるね
心配しないで、泣かせたりはしないよ」


友との友情を確認するかのように握手を交わし微笑んだ




紗奈の言葉を俺は守れる自信がない

泣かせはしないだろう
それでも
きっと俺は如月瑠衣を傷つける。

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