あなたを好きにならないための三箇条



サワサワと風が頬を撫でる。

…何度、この言葉は聞いても慣れない




「…好きです!」




紅潮させた頬
緊張したように両手を胸の前で握り
必死にその想いを伝えようとする


…可愛い


そうは思っても心の中の答えはとうに決まっていた



「…オレなんかより、君にはもっといい人がいるよ」

ゆっくり近づいてオレは優しくその手を取った。



「…ごめんね。ありがとう」

ちゅっと音を立てて
取った少女の指先に口付ける

少女は恥ずかしそうにオレから目線をそらした

「ご、ごめんなさいっ。私なんかがルイくんと付き合えるなんて…生意気でした」


自信なさげな言葉を弾き返すようにオレは少女の耳元で囁いた



「キミみたいな可愛い子に、オレは勿体ないって言ってるんだよ?
ほら、俯かないで。キミは笑ってる顔が一番可愛いんだから」


少女の頬を両手で包み強引に上を向かせる。

と、少女は嬉しそうに涙目で笑った
「…ルイ、くん…」


「オレなんかを好きになってくれてありがとう」



颯爽とその場から立ち去り少女を置き去りにする

優しくないとか思うかもしれないが
この方が良いのだ


結局オレはあの少女の気持ちには答えることができないのだから
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