あなたを好きにならないための三箇条




〜〜〜〜

ここは瑠衣の家。


あの後、紗奈に連絡して来てもらった


紗奈は青ざめて
瑠衣を家に連れ帰った。


紗奈に運べるわけがなく、必然と俺も招き入れられたのだ。




雨に濡れた瑠衣の体を拭いて、布団に寝かせた紗奈はまず、俺の胸ぐらを掴んで叫んだ



「あんた、何した!」
「……俺の、せいだ」



腕を掴んだだけだった。
早く行こうと、男が苦手とは知っていたけど
そこまでだとは思わなかったのだ。

「…」

あったこと全てを話し終えて
紗奈は大きくため息をついた


「…落ち着きなさい。あんたのせいだけど、私のせいでもあるから」


紗奈は真っ直ぐに俺を見つめ宥める

俺は…
取り乱していた、のだと思う。



きっと言葉が言葉になっていなかっただろうし


まず頭が真っ白で、ありえないほどに震えていた



瑠衣の“ごめんなさい”が頭から離れなくて。



あんなにも冷たい恐怖の視線を向けられたのは初めてだった

俺の全てを嫌って恐怖しているような目。



「……瑠衣は……」


俺の姿に
呆れたのか哀れんだのか、
深いため息をついた紗奈が
口を開いた時


隣で眠る瑠衣がぽつりと呟いた




「『生きてて、ごめんなさい』」




息が、止まるかと思った





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