あなたを好きにならないための三箇条

少女から離れ
ふぅ、とため息をつく

壁に隠れてこの姿はきっと見えないだろう


そう思って気を抜いたのだ



…あぁ、しんどいなぁ



自分を偽るのは好きじゃない
それでもオレは“イケメン”でいなければならない


はぁ、もう一度大きくため息をついた時–––

「ひゅーぅ。モーテモテだねぇ」



声に驚き振り返る
ため息をついたところを見られていた?
更に先程の告白まで覗かれていたのか?


「…なんだ」

オレがギロリと睨めば
彼はオレにゆっくりと歩み寄る

彼の何故かまっすぐな瞳がオレを捉えた




「ほーんと。呆れるくらいモテるんだね」




呆れたような笑いに顔が熱くなる

オレだって別に…!


目の前に堂々と立った彼はオレよりも明らかに背が高くて…
不意に髪を掬われ、動きが止まる

「…なっ」

なにをして…っ

焦ってオレの髪に触れる手を振り払おうとすると



まるでオレがどう動くかわかっていたかのように手首を掴まれた



彼がオレを見つめて目を細める


ニヤリと弧を描いた唇が
甘い声で耳元で囁いた







「女のくせに」




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