姉貴は俺のもの
あの日、ボロボロになって帰って来た美奈を見て
父さんは激怒した。
母さんは魂の抜けたような美奈を抱き締めながら大泣きしていて
俺は泣くどころか美奈をこんなんにした奴がこの手で殺してやりたいほど憎かった。
だから代わりに父さんと2人で警察に行ったのだが、まともに取り合ってもらえず…
俺も父さんも理解できなかった。
その帰り道、
父さんは黒い車の横に立っている厳つい男に反応した。
「 陸、裏道を使ってさきに帰りなさい 」
「 父さん、でもっ。 」
「 いいからっ! 早くっっ 」
父さんにそんな風に言われたことは、一度もない
男が放つ雰囲気に異様なものを感じて、
素直に従って俺は父さんに背を向けた。
「 っッ………… 」
しかしいつの間にか、俺らの後ろにはスーツ姿で
胸元を膨らませてる男たちが立っていた。
「 と、父さんっ。 」
呼びかけながら、振り返ると父さんは
車の横に立つ男に銃口を向けられていた。
「 初めまして、高槻と申します。
今回は息子がとんだご迷惑をおかけしたようで…… 」
迷惑をかけ、た………?
瞬時に美奈に今日起こった出来事と、
男が言ったことが繋がった。
「 あんたっ!! 」
銃を向けられながらも、事実に気づいた父さんは
俺同様に怒りを抑えられないようだった。