姉貴は俺のもの
「 ちょっと、ちょっと落ち着いて下さい。
こちらはわざわざお詫びをしに来たんですよ? 」
「 なっ。 」
子供ながら、この態度には絶句した。
男は不気味な笑みで父さんを宥め、
見せつけるように銃をしまった。
「 先ほど、警察に行かれたようですが
どうでしたか? 」
コソッ
「 そうか…
そういう事なのか 」
父さんは、納得したように呟く
______のちに分かったことだが、
息子が迷惑をかけたと、詫びに来たこいつは
ヤクザの親玉で
表向きはそこそこでかい会社を経営しており
父さんが働く会社は、ちょうどその会社の系列だった____
「 貴方がどうであれ、私の娘を傷つけた報いは受けてもらいますっ 」
「 クスッ
どうやってです? 」
「 どうやってでも。
失礼しますよ、貴方を見てると気分が悪くなる」
行くぞと、父さんは俺の手を引き
その場を後にした。
普段は、温厚な父さんからは想像もつかない姿に
俺は一度たりともその時を忘れることはなかった。