姉貴は俺のもの
依存
一人にしないで
コンコン
「 陸、彼女の様子はどうだ。 」
「 総長っ! 」
俺を拾って鍛えてくれた総長に驚きながらも
背筋を伸ばして頭を下げた。
「 堅苦しい挨拶はなしだ。
それよりその子が気を失ったと聞いたのだが大丈夫なのか 」
「 …、はい。」
美奈は、多分勘違いしたんだろ
俺が高槻と知り合いだと思ってて、大勢で迎えに行ってしまったから___
総長は、足音をさせないように小股で歩み寄って来ながら
美奈の顔色を伺った。
「 なるほどなぁ、これがお前が惚れた女か
なかなかの美人じゃないか。 」
「 っッ、はいっ 」
関東一の暴走族を率いる総長の前で、ニヤケ顔など見せてはいけないと心得ていながらも
つい口元が緩んでしまう
「 聞いたぞ、陸が好きな女は姉貴なんだとな。」
ドキッ
お隣の家を訪ねた時、いつもの口癖で姉と言ってしまった。
やっぱり聞かれてたか
総長の耳に入らないようにと願っていたが、ダメだったな……
「 黙っててすみませんでした!!
ですが、俺の一方的な感情ってだけなんです
せめて姉だけでもここに匿ってもらえませんでしょうかっ? 」
姉妹兄弟との恋愛、男同士の恋愛は禁止
主に世間で非難されるようなことをしたものには
族を辞めてもらう
この代で、総長が新しく追加したルールだ。
だが、俺がこの手で高槻の息の根を止めるまででも………
「 ______情報によれば
俺の命令を無視して家に来た高槻を我慢できず、殴ってしまったそうだな 」
ベランダを挟んだ隣の家まで逃げようとした美奈を、
これ以上助けずに放っておくことができるわけない
「 はぃ"ッ 」
俺の人生には2つの汚点がある。
1つ目は、美奈を高槻から守らなかったこと
2つ目は、復讐に目がくらみ
両親が死んでからも続いていた高槻からの仕打ちに
美奈が1人耐え抜こうとしていたことに気づかなかった事だ。