姉貴は俺のもの
「 うむ…… 」
総長は悩んだ顔をしながら、手を顎にやった
「 陸、姉貴とは血が繋がってるのか……? 」
「 い、いいえっ 」
「 なら、短気だったお前が俺の挑発に乗らなかった褒美として
姉貴とのことは目を瞑ってやろう 」
挑発?
眉をひそめ、少し前のことを思い出した。
そうか、総長がわざわざ俺の勘に触るようなことを言ったのはその為だったのか
「 いいんですか、総長。 」
「 あぁ 」
「 しかし、それでは示しがつかないのでは……」
「 まぁなっ。
義理とはいえ、家族になってしまったんだ。
いくらお前が幹部だからって、そこを譲るつもりはねぇ…… 」
いてもいいけど、恋愛は禁止……か。
一個人としては不満があるが、族の俺としては
総長に感謝するばかりだ。
顔を歪めて苦しそうにする美奈の手を、
優しく握りしめた。
その様子を総長はじっと観察している
「 ……でもな、陸の好きって感情が純粋なのも俺には見てたらわかる。 」
「 ………… 」
「 全てを捨てて、女を守る覚悟を決めるやつなんか
今の世の中、そういねぇんだ。 」
俺の肩に手を置いて、総長は小さく頷きながら軽く叩いた。
「 俺はお前を気に入ってる。
だからと言ってはなんだが、お前の恋心を応援してやるよ 」
それはどうゆう意味で……
総長はそれ以上何も言わず、美奈の顔を見てわずかに笑うと
部屋を出て行った。