姉貴は俺のもの
美奈side


誰かの話し声がする


あの男だったら、どうしよっ。



身体が小刻みに震え始め、とっくに枯れたはずの涙が止まらない



どうせ陸をつかって、お馴染みの屋敷に私を連れてきたんでしょ?


…………終わりだっ。



怖くて、怖くて


恐怖心はやがて、吐き気へと変わっていった



「 美奈ッ!! 」


なんで陸の声がするの?



もしかしてあの男に捕まってしまった??



目を開けて、陸の無事を確認したいのに

どうしても頭が目の前の光景を見ることを拒否した。



傷つけられた陸を見るのは、私には耐えられない


もし見てしまったら、幾度となく壊れかけていた心が完全に壊れてしまうような気がした


「 起きなくてもいいから、そのまま聞け 」


温かい手が、私の目の上に乗せられて
視界を遮る


………陸っ。


真っ暗なはずなのに、私の視界はオレンジ色に包まれた。



「 ここに高槻はいない


俺の信頼がおける場所だ。 だから一度深呼吸をしてから目を開けろ 」



あの男とは違い、陸に指示された通りに身体が動く


薄っすらと瞼を開けると、陸の顔が見えた。


< 23 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop