姉貴は俺のもの
______俺が荒れてた時代、総長と出逢った時に聞いた話だ。
誰も信用できなくて、ただ強さばかりを求めてた俺に
総長は声をかけてきた。
俺も、今のお前と同じ目で人を殺したことがあると
俺より背が高く、温厚そうな表情の裏に鳥肌が立つほどの殺気を浴びてる目の前の人物に、一瞬怯みかけた。
だが、殴りかかった。
こんな事では美奈の悲しみを癒してやることができない
両親の死の代償をあいつらに払わしてやることができない
____そう思ったからだ。
けど俺なんかが、総長に叶うはずもなく
結局俺だけが血だらけになり、総長は無傷という形で殴り合いが終わった。
めちゃくちゃな喧嘩の仕方をする俺を、総長は見下ろしながら笑った。
そのことが屈辱的で、どうしようもなく恥ずかしかったのだが
総長は俺のそばに腰を下ろし
俺と同じように復讐に燃える目で何があったか問てきた。
総長を信用してなかった俺は美奈だけを家族とはせずに全てを話した。
総長は暗い顔で高槻の組みの名前を確認すると
今度は総長が自分の過去を話し始めた。
総長の話によると、総長の幼なじみだった女性が
高槻の組の者によって殺害されたそうだ。
単なる事故だったらしいのだが、元はと言えば組内での争いが外の一般人までに被害が及んだということだった。
復讐を誓った総長は、見事成し遂げ
そのとき………協力してくれた当時組員だった佐賀さんと知り合った。
総長曰く、大切な者を失い危うく相手を殺すところだった総長を正気に戻したのは、
佐賀さんが総長に仲間が待ってるのに道を踏み外してもいいのかと
諭してくれたおかげだったという
それから総長は組みを抜けたいと相談してきた佐賀さんに協力し、佐賀さんは総長の元へと来たそうだ。
今じゃ、佐賀さんと総長は唯一無二の存在
総長は今も時々、佐賀がいなければ幼なじみを殺した奴らを殺しそうになると言っていた
ようするに総長は遠回しに、
自分にとっての佐賀さんは、
俺にとっては美奈であるって事を言いたかったのだろう