姉貴は俺のもの
佐賀side



「 佐賀、用事で30分ほどここを離れる

女が目を覚ますまで陸の傍にいてやってくれ 」


「 っ、はい。 」


何やら芳しくない表情を浮かべている悠己( ゆうき )に話を聞きたいところだったが、


悠己の命令ということもあり、俺は無言で陸たちのそばに立った。







「 ____佐賀さん。 」


陸は女の手を握りながら、俺の方へ振り返った。




「 どうした? 」


首を傾げ微笑みながら尋ねると、こっちの様子を伺うような視線を送ってきていた。



「 こんなこと聞くのもどうかと思うんですけど、

総長はどうして佐賀さんを組みから抜けさす手助けをして、チームに迎え入れたんですか 」


「 …………… 」


出来れば訊かれたくないことだったんだけどなっ


口元の緩みをなくし、無感情で一呼吸する



「 陸は、もし自分が悠己の立場だったら俺を恨むか? 」


質問返しなんてせこいことしたく無いんだが、俺にはこうするしか陸の疑問に答えてやることができない



「 そう…、ですね。

佐賀さんは直接関わってたわけじゃ無いみたいですし、俺も総長と同じように恨みません___ 」


予想通りの返答に俺は首を横に振った。


俺らからしたら、まだまだ陸はガキだ。


だからこそ、尚更俺たちは陸が真っ直ぐ育っていけるように守ってやりたくなるのだ。


「 俺と悠己は親友ではあるが、実は普通の関係じゃない 」


「 それは知ってます。 総長の幼なじみがっ。 」



先を急ぐ陸に、待てと言って止めた。



「 普通の関係じゃないというのは、過去うんぬんという意味じゃない。


だから悠己は、俺のことを今も許してない


恨んでるんだ。 」



「 え、でも総長は佐賀さんのおかげで助けてもらってることがあるって…… 」


「 だろうな。

でも俺たちの間には、悠己の俺に対する恨みが必ず介在している 」


困惑した顔を向けてくる陸に、作り笑いを浮かべる



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