姉貴は俺のもの
「 すみませんが、あいにく陸はここにいないんっすよね。
お引き取り願えますか 」
仲間たちの中から将さんが出てきて、
高槻たちに伝えた。
そんな願いをあいつが聞き届けるはずない
ガシッ
行こうとした俺の肩を佐賀さんは鷲掴みし、首を横に振った。
「 君、誰?
まぁいいや。 陸がいないのなら美奈帆を出してくれる 」
「 何故ですか 」
「 ………なぜ? 」
高槻は聞き返し、将さんの腹に一発蹴りを入れた。
「 っッ、ゴホっ 」
「 この俺に聞き返してんじゃねぇよ!
さっさと女だせや
ここにいるのは分かってんだ 」
佐賀さんが止めてるわけは、おそらく総長が不在だからだ。
総長が帰ってきたら、あの高槻だってビビって逃げ帰るだろう
でもこのままただ待っているのは、
「 なぁ、陸っ!
隠れてないで出てこいよ!! 」
幸い、高槻以外ヤクザの連中はいないみたいだし
仲間が傷つけられるのをただ何もせずに見ていたくない
ボソッ
「 佐賀さん、離してください 」
「 ダメだ、相手を考えろ。
お前の敵う相手じゃない 」
眉をピクリと動かす
俺の敵う相手じゃない?
雑魚共の集まりに俺が負けると……
「 なめないでください。 」
殺気を帯びた目を向けると、佐賀さんの力が一瞬緩んだ。
その隙をついて、手を振り払う
「 早く出てこい 。 いいのか?
美奈帆ちゃんの身体の事こいうらにバラすぞーー 」
「 あ"ぁ"ッ?!!
今何つったてめぇ! 」
二階から顔を出し、倉庫内に響き渡るぐらいの大声を下にいる高槻に向けて放った。