姉貴は俺のもの
記憶
美奈side



「 てめぇ! 」


ビクッ


陸に怒られたと思い目を開けたが、周りには誰もいなかった。



「 陸?? 」


ゆっくりと上半身を起こし、辺りをキョロキョロ見渡すが

人の気配も感じない



「 浮かれるなよ

俺の息子に手を出されたからって。 陸は仕方なくしたんだ 」


「 お、とうさんっ 」


また?


震える声で呼びながら、布団を捲った。


その姿を見ようと、無駄だと分かっていながらも

声がする方を凝視する



「 陸にとっては迷惑でしかない 」


「 美奈、ちゃんと見つからないように一人ぼっちにならないとダメじゃない! 」


「 お母さんッ。

私、一人ぼっちは いゃ」



「 お前と出会わなければ 」


「 私の子供にならないでくれたらっ 」



_____あぁ、そうか


二人が可笑しいんじゃない、私が可笑しいんだッ


そう考えれば合点が行く


自分のことを第三者の目で見たら、私は被害者なんかじゃなくて

むしろ加害者だ。



いくら口や言葉で理解してるフリをしたところで、心は今まで私に従ってなかった……



「 お母さん、産んでもらったのにこんな子でごめん 」


「 ホントよっ! 」


「 お父さんも、

私がいないお母さんと結婚できたら良かったよね 」


「 あぁ。 」


これで、良かったんだ。


こう言えば二人はもう怒ってこない



…………その代償に、私の胸は張り裂けるように痛くなったけど。



私が、どうなろうがもう誰にも関係ない


陸だってちゃんと血が繋がってる訳でもないんだし、

私が家族を辞めようと言えば、快く承諾してくれるに決まってる



「 …………一人、ぼっち 」


涙がポタポタと布団の上に落ちて、濡らしていく____



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