姉貴は俺のもの
部屋の外にいる陸に早く伝えてあげようと
ヨロヨロと歩いて廊下へと向かった。
「お前ら何言ってる! やめるんだ!!」
なにやら騒がしい一階を見ようと、柵に手をかける
「 ひゅッ 」
私の目に映るのは、後頭部だけで。
必死に自分に違うと言い聞かせた。
「 けど佐賀さん!
こんだけ言われて、我慢しろって方が可笑しいですよ!! 」
そんなはずない、いるはずないっっ
_______どうして? ねぇ、どうしているはずがないの??
自問自答しながら背けていた視線を、ある方角に向ける
…………陸の前に立ってる人は、
「 仲良しごっこ、いいね。
俺と同じことをこいつらともしてるのか? 」
冷え切った空気が、大量に吸い込んだせいで肺を満たす
「 違う! 」
そいつは、顔を上げてゆっくりと私の方を見た。
忘れたいほど、
何度も向けられてきた気持ちの悪い笑み
「 美奈帆ちゃーん、サプラ〜〜イズっ
俺が直々に迎えに来てあげたよ! 」
あの男が言ったことに、涙がじわりと湧き上がった。
呼吸数も、心なしか多くなってる気がする
陸は即座に私に見えないようにしてくれたのだけれど、
私は高槻がこの空間にいるというだけで
背を向けていようが、どうしてようが
されたことの幻像が次々と見えてしまった。
「 美奈! 部屋に戻ってろ!!」
背中越しに言われ、幻像の中にでできた陸に私はのろのろと首を縦に動かした。
「 また陸に迷惑かけてッ 」
お母さんの声がして、私の心をさらに追い込む
「 フフっ、美奈帆ちゃん。 よかったねーー
まだ君のことを好きになってくれる人がいたみたいだよーーー 」
私を見て、言う高槻に身体が固まった。