姉貴は俺のもの
お願いだから陸を傷つけないで。
もう、私の家族は陸しかいないのっ……
コンコン
「 ひッっ。 」
扉をノックされ、とっさに耳を塞いだ。
大丈夫、………大丈夫
ちゃんと鍵はかかってるし、内側から開けない限り開かないはず
歯がガチガチ鳴って、心には恐怖心しか残っていない
「 ねぇ、美奈帆ちゃん。
高槻だよ、ここ開けてよ 」
ドアノブがガチャガチャと無理やり動かされている
嫌だっ。
憎くて、憎くて仕方がないあの男を
部屋に入れるわけがない
震える手で張って移動し、ベランダへと続くドアを開けた。
夜風が頬をかすめ、思わず身震いする
「 逃げないでねーー
逃げたら痛くするかもよ?? 」
今まで逃げられたためしがないので、立ち上がろうとしていた体が一瞬固まったが
それでも本能的に立ち上がってベランダへと出た。
「 チッ 」
舌打ちされて、捕まった後どうなるかが頭の中に流れてきたが
なんとかそれを忘れて
隣の家のベランダの柵へと手を伸ばす