姉貴は俺のもの
「 佐賀さん、俺のことや両親のことについて何か話しましたか 」
「 陸っ 」
まさかという表情で見返され、佐賀さんが伝えてないことが分かった。
ガシッ
「 陸、やめておけ。
悠己はキスしたこと許してたかもしれないが、俺は状況がどうだったであれ
キスはすべきじゃなかったと思ってるんだぞ
……お前たち、姉弟だろうが」
何だ、それっ。
掴まれた腕をじっと見つめながら、薄ら笑いする
「 佐賀さんは、俺たちと何の関係じゃないですよね」
「 あぁ、そうだ。
けど俺はお前のため 「 すみません。
ウザいです 」
佐賀さんには申し訳ないが、これは他人に口出しされて
どうこうという問題じゃない
俺なりにちゃんと考えた。
この選択肢を選べば、いずれ美奈の記憶が戻ったとき
俺たちは前と同じようには接しれずに、家族じゃなくなる
下手し、高槻と同じような扱いをされて嫌われるかもしれない。
けど………
振り返って、可愛い美奈の方に目を向けてる男どもに
睨みを利かせた。
「 記憶が戻らなければ、延々にそのままなんですよ
俺にとっては、一生に一度も訪れないと思ってたチャンスなんです 」
俺の嘘を美奈は信じ、
今まで築けなかった関係になれるんだ。
「 だから、すみませんけど…。 」
目力を強くして佐賀さんを見たあと、自分の腕へと視線を落とす
力の入れられていた佐賀さんの手が、するりと下に降ろされた。