姉貴は俺のもの

飯を食い終えると、外出用の服に着替えて外へ出た。



バイクに跨り美奈が出てくるのを待つ。



ガチャ

「 お待たせーー


急だからオシャレできなかったッ 」


嫌味を含む言い方をしながら、美奈は首をコテンと横に倒し

両手を斜め前に伸ばして服を披露してきた。



「 もうちょっと俺の隣にいても合うような服を選べよ……」




嘘、くそ可愛い。



下は黒のデニムに白のセーター、赤のダッフルコート



逆にオシャレできなくてそれなのかって言いたいぐらいだ。


もう少し素直になれたら……


「 _____、すみませんね

陸くんがカッコ良すぎるからだめなんじゃない? 」



「 ハッ、当たり前だろ 」


笑い飛ばしながらヘルメットを投げた。


落としそうになりながらも、美奈はなんとかヘルメットを受け取る。



親指で自分の後ろを指して、顎をクイッと前に動かした。



「 乗れよ 」


「 っッ。

なんで無駄にイケメンなのよぉっ___ 」


無駄とはなんだ、無駄とは


「 うっさい、早く乗れ

そんなんだからノロマとか、馬鹿とか言われんだよ 」



ノロマなんて言われたことないし。

そう、ぶつぶつと反論しながら美奈は後ろに乗った。


汗滲む手で、バイクのハンドルに手を置き

前へとひねる



「 きゃっ 」


エンジンがかかる音にぞくぞくする俺とは反対に、美奈は腰に回していた自分の両耳にやった。



「 しっかり掴まってないと死ぬぞー 」


「 ま、待って 」


慌てて腰に回された手は、力強い


弱々しく震えたりして怯えてはいなかった。



それだけでも十分嬉しくて、ニヤける顔を隠すようにヘルメットをかぶった。

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