姉貴は俺のもの
美奈side


どうしてここなのか陸くんに尋ねようと思ったのは、

バイクで20分ほど走ったところにある水族館に着いた頃だった。




「 連れてきたかった場所ってここ? 」


目の前の建物をまじまじと見る私を、腰に手を当てて待っている陸くんに尋ねる


「 あぁ。


一度も夜の水族館に行ったことがないって言ってたからよ 」



へぇーー


前のわたしは そんな事言ってたんだ。



……てか、そもそも水族館に行った記憶さえないから夜の水族館なんてものがあるって知っただけで

今の私には驚きなんだけど。



縦横に幅のある水族館に圧倒されつつも、

ふとバイクで後ろをついて来ていた人たちがいなくなってることに気がついた。



「 あれっ? 」


どこに行ったのかな……


キョロキョロと首を動かして、姿を探す



「 仲間たちは見えないところにいるから思う存分楽しめるぞ 」


なんとなく察してくれた陸くんが教えてくれた。



「 そっ 」


実質二人きりということか。


途端に2人きりと言う状況に恥ずかしくなり、陸くんを置いて歩き出してしまう



「 おい 美奈ッ! 」



「 どうした?


急に歩き出したらビックリすんだろ 」



慌てて小走りで距離を詰めた陸くんは、珍しく焦っている


いつも強気なくせに、こんなことで動揺する陸くんを不思議に思った。



「 ごめん、ワクワクしてたら勝手に足がさっ 」



目尻を下げて笑ってみせると、

陸くんもつられて笑顔を浮かべる




あれ???


私の見間違いかな。



今、確かに陸くんが笑い返してくれた気が……


「 1人じゃ危ねぇから先に行くんじゃねぇぞ? 」


やっぱり変だ!


家とは全く違う態度に目を見張った。



「 う、うん。 分かった___ 」





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