姉貴は俺のもの


「 俺との記憶なくして、ほとんど缶詰状態で毎日過ごしててさ。


もう昔には戻れねぇ

嫌われてるんだろなって、思ってたわけ。



それなのに、泣きながら好きだって言われたら………

誰でも嬉しいだろッ。 」



あっ。 そう、だよね………



陸くんの話を聞いて、私が記憶をなくして不安だったように


私の忘れた思い出まで全てを覚えてる陸くんにとって、
恋人に忘れられると言うのはよほど辛かった事に違いないんだ。




「 ……忘れちゃって、ごめんね。


わたし頑張って思い出すからさッ 」


喜ぶか、無理すんなよって。


また優しい言葉でもかけてくれるのかと推測した。



でも________




「 どうして、そんな表情するの? 」


そう問わずにはいられないほど、陸くんは哀しそうな目で

微笑していた。



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