姉貴は俺のもの
美味しい海老のチリソースをご馳走になり、
お礼を言うと
おじさんが隣に座り、おばさんは私の前に座って顔を覗き込んできた。
「 元気にしてたって、訊きたいけど
違うようね。
どうしたの、お母さんのことで辛くなった? 」
事故死とされているお母さんの死で、私が狂ったと思われてるんだろう
けれどそれは間違っていた。
両親の死のせいじゃない
何もかも、あの男のせいなんだ。
全てを打ち明けたかった。
叶うものなら、両親の死で悲しみにくれて引きこもりになってると思われたくないのだ。
ピーンポーン
肩をすくめ、モニターの方へと目を向ける
そこには陸の姿があった。
おばさんは一度私の方を見た後、おじさんを見て
頷いた。
「 はい。 」
おばさんが出ると、ポケットに手を突っ込んでいた陸は
手を出して頭を軽く下げた。
「 姉がご迷惑になってるようで…。
迎えに来ました 」
チラリと私の方を見るおばさんに首をぶんぶん横に振った。
はっきりはしないが、後ろに陸以外の誰かが立っている
きっとあの男だ。
陸は私をあの男に渡す気なんだっ。
「 ちょっと待ってね 」
待ってね??
目を大きく見開きおばさんを見つめたが、
おばさんは私ではなくおじさんを手招きして
部屋の外へと連れて行った。