となりの芝田は、青い。



「信じてないな?」

「どうも芝田に勉強できるイメージがなくて」

「できたらどうする?」

「へ?」

「なんかご褒美でもくれる?」


……ご褒美?


「一番じゃつまんねーな。よし、全教科満点とる」


流石にそれは無謀すぎない?


「ハードル上がったね」

「ケアレスミスさえなければヨユウ」

「言い切ったね?」

「ご褒美は薙乃ちゃんのキスで」

「……は?」

「楽しみにしてる」

「なに勝手に決めてるの」


ほんとなに言い出すかわかんないやつ。

キスってそんな景品みたいに扱うもんじゃないでしょ。


もっとシチュエーションとかさ。

大切にして……。


……キス――?


「腹減った」

「なんでもう空いてるの」


芝田となにがどうなればキスする雰囲気になるの?


「寝坊して食ってない」


こ、この男と……キス……!?


「わたし迎えにくる時間あるなら食べてきなよ」


計画性皆無で。

要領いいのか悪いのかわかんないやつと?


「会いたかったんだ。薙乃ちゃんに」


< 33 / 72 >

この作品をシェア

pagetop